POSIXct
はタイムゾーンを伴った日時型であり、これをas.Date()
という組み込み関数に渡すと、Date
という日時型に変換できる。
この関数の挙動にどうにも違和感がある。
どうもこの関数、POSIXctをas.Date() する時にtzを指定しない場合、POSIXctのタイムゾーンに何が設定されていてもUTCとみなして処理されている
ようなのだ。
例
> as.POSIXct('2015-01-01 00:00:00') [1] "2015-01-01 JST" > as.Date(as.POSIXct('2015-01-01 00:00:00')) [1] "2014-12-31" > as.Date(as.POSIXct('2015-01-01 00:00:00', tz="UTC")) [1] "2015-01-01"
実装を読んでみた
as.Date
はRにおいて、総称関数
と呼ばれるタイプの関数である。
これは、与えられた引数の型を判定して、型に応じて異なる処理を行う仕組みである。
この総称関数の実装を読むには以下のようにする。
> methods(as.Date) [1] as.Date.IDate* as.Date.POSIXct as.Date.POSIXlt as.Date.character as.Date.date as.Date.dates as.Date.default [8] as.Date.factor as.Date.numeric see '?methods' for accessing help and source code > as.Date.POSIXct function (x, tz = "UTC", ...) { if (tz == "UTC") { z <- floor(unclass(x)/86400) attr(z, "tzone") <- NULL structure(z, class = "Date") } else as.Date(as.POSIXlt(x, tz = tz)) } <bytecode: 0x5d0f708> <environment: namespace:base>
as.Date.POSIXct
のtz
にデフォルト引数として"UTC"
が指定されている。
function (x, tz = "UTC", ...)
これでは、引数のPOSIXct
のtz
がなんであれ、(as.Date()
のtz
が明示的に指定されない限り)"UTC"
として処理されてしまう。
(…と、読み取ったんですが合ってますかね? 何か見落としがあったら教えて下さい。)
現状のas.Date
のインターフェースデザインの課題
このようなAPIのデザインはフールプルーフの原則にのっとっていないと感じる。
この関数は、「as.Date()
を使う時はtz
を明示的に指定する必要がある」という認識を欠いた人に対して手痛い打撃を与えることになる。
もし自分が実装者だったら?
tz
を明示的に指定しない場合に例外を出すか、引数となったPOSIXct
のtz
を使用するようにする。- 今から変えたら後方互換性が凄い事になるので無理だろうけど…
自分もこういうデザインをしないように気をつけます…