本を読んだ |「反応しない練習」/ アンガーマネージメント
「反応しない練習」という本を読んだ。ネガティブな感情への対処方法として役立つ内容だった。
Amazon.co.jp: 反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」 電子書籍: 草薙龍瞬: Kindleストア
本の大まかな内容
日々の生活の中で、不安や後悔などネガティブな感情を持つことは多いと思うが、そういう感情に「反応」しても役に立たないからやめた方がいい。反応をやめる練習(トレーニング)をしよう。というのがこの本のテーマ。
具体的なトレーニング
ポイントは、自身の心理状態を観察・分析すること。そして合理的に考えること。
例えば...
自身の感情を言葉にする
- 緊張してるなら「あ、いま自分は緊張してる」、怒っているなら「いま自分は怒ってるんだな」などと心の中でつぶやく。これだけでかなり気分が楽になる。
何を期待していたのか考える
- ネガティブな感情の背後に「無意識の期待と、現実とのギャップ」がある事が多い。自分自身が何を期待していたのか考える。
- 例) すれ違う人と肩がぶつかったが相手が無言だったので腹がたった → 肩がぶつかったらお互いに謝るのが当然 という「期待」がある。
役に立つことを考える
- 例)「あの人に嫌われてるかも知れない」→ 嫌われているかどうか確かめるすべはない。状況を好転させるために「今、できること」はなんだろう。と、考えてみる。
執着をなくす
執着と現実にギャップがあるからネガティブな感情がわく。
- 求めるものを得たい(だが叶わない)
- 手にしたのもを維持したい(やがて必ず失われる)
- 苦痛となっているものを無くしたい(だが思い通りには無くならない)
→苦しみがなくなるとしたら現実が変わる時ではなく「執着」が止むとき。「執着」をやめる。少なくとも「執着」していることに気づく。
などなど。他に気分転換に役立つ身体の動かし方なども含めて、20個前後くらいのアドバイスが乗っている。
「執着」を完全に無くしたら現実をより良くしていく動機が失われるような気がしてやや怖い気もするが、少なくとも自身が求めている執着がどういう物なのか言語化して現実と比較することは、執着するにしても執着を捨てるにしても役立つことだろう。
実践してみて
本を読んで1ヶ月くらい経ったと思う。特定の思考方法を習慣化するのは結構難しいことだけど「役に立つことを考える」(考えようとする)という習慣は結構身についてきた気がする。気持ちが軽くなったし、役に立つことを考えているので生産的でもある。とても良い本だった。
アンガーマネージメントや認知行動療法との関連
「反応しない練習」で書かれているような方法論は、アンガーマネージメントや認知行動療法とも似てると思った。 今度機会があったら、認知行動療法についても勉強してみたい。
アンガーマネージメントとの関連
以前、はてな匿名ダイヤリーでこんな記事を読んだ。
だからお前らは本当にアンガーマネジメントのことがわかってないな
アンガーマネージメントの要点は、怒りを二次感情と捉えて、その原因となっている一次感情(「悲しい」、「不安」、「苦しい」、「後悔」、「困惑」、「恐怖」)が何ななのか分析することであるという内容である。
「自身の感情を観察・分析することで冷静になれる」って点で、「反応しない練習」と「アンガーマネージメント」は似ていると感じたので、アンガーマネージメントの本も一冊読んでみたが、驚くほど似通った内容だった。
[図解]アンガーマネジメント超入門 「怒り」が消える心のトレーニング(特装版) | 安藤 俊介 |本 | 通販 | Amazon
認知行動療法との関連
また、その後いろいろ調べると、認知療法の考え方とも共通点があると感じた。
認知療法の基礎をなす“感情障害の認知モデル”という理論は,決して新しいものではありません.たとえば,古代ローマの哲人皇帝マルクス・アウレーリウスの次のような言葉の中にその萌芽を見いだすことが可能です.
「君がなにか外的の理由で苦しむとすれば,君を悩ますのはそのこと自体ではなくて,それに関する君の判断なのだ」
医療の領域であれば、知識が体系化されているだろうし、臨床での豊富は実践例もあるだろうから、次は認知行動療法について勉強してみたいと思う。認知行動療法の効果にはすでに一定のエビデンスがあり、保険適用で治療が受けられる場合もあるとのことだから、信頼性もかなり高そうだ。