機略戦記

Maneuver warfare

「PCITから学ぶ子育て」を読んだ

「PCITから学ぶ子育て」という本が良かったので書き残しておく。

www.amazon.co.jp

サマリー

これは一言でいうと幼児の「しつけ」についての本だ。 そして「しつけ」の前段階として親子が「仲良くなる」事を推奨しており、そのための具体的なメソッドを紹介してくれる。そのメソッドが参考になった。

「しつけ」の必要性

1歳5ヶ月になる息子がいる。 私は子供が生まれる前「しつけ」という言葉に良い印象を持ってなかった。「しつけ」という言葉には「理屈を理解して納得をしていない相手に"規範"とか"常識"とかに基づいて、何かの行動を強制させる」というニュアンスを感じる。そういう事をされたら苦痛だろうから良い印象を持っていなかったのだ。

しかし、子供が生まれてみてそういう考え方は変わった。幼児は「走行している車に近づいたら危ない」だとか「便器にたまっている水で水遊びをすると汚い」だとか、大人なら当たり前に知っている事を知らないので、大人が教えてあげないといけない。そして、まだ「わんわん」や「ばいばい」「ダメ」程度の言葉しか持たない子どもに、理由を説明し、理解して貰った上で行動を変えてもらう事はできない。

なぜ便器の水で遊んだらダメなのか? ダメったらダメなのである。とりあえず子どもと言葉によるコミュニケーションがもっと取れるようになるまでそういう「しつけ」は必要だと考えるようになった。

PCITの何が役立ったか

じゃあ具体的にしつけをどうやったら良いのかについて、この本は大まかに以下のようなステップを推奨している。

  1. まず親子が仲良くなる
  2. その後、しつけを行う

1.のステップで信頼関係を築く事がしつけを行うために重要ということらしい。

では親子が仲良くなるための具体的なメソッドがどういう物か? 一言でいうと「子どもが主体となって遊び、親がそれを承認しつづける形で遊ぶ時間を設ける」といった感じだ。

詳しくは書籍を読んで欲しいが、1)親から子どもに対して遊び方を提案せず、子どもがやりたいようにやらせる。2) そして親は子どもの遊び方を真似たり、しゃべった事をオウム返しにしたり、子どもが取っている行動を実況中継してあげたりする事で、子どもに対して「あなたに興味をもって注目してその行動を承認していますよ」という事を示す。といった遊び方だ。

そういえば、子どもとの遊びに慣れている人は、子どもの行動を真似るような遊び方をよくしていたが、こうしてメソッドとして説明されるまで気づかなかった。

実際に子どもとの遊びに上記のような要素を取り入れてみたところ、なんだか以前よりも集中して、より楽しんで、私と遊んでくれるようになった気がする。だからこの本は自分にとって良いヒントになった。

息子はまだ言葉が分からないので本格的なしつけをする機会はないが、そういう段階になったらまたこの本を読み直してみたいと思う。

行動分析学コーチングとの関連

余談ではあるが、このPCITというメソッドには2つの源流があるのでは無いかと感じた。

1つはスキナー箱の実験などで有名な行動分析学だ。PCITが行動分析学を源流としていることはこの本にもはっきりと書かれている。PCITが興味深く感じた人は、行動分析学についても調べてみると面白いかも知れない。

行動分析学入門 ―ヒトの行動の思いがけない理由 (集英社新書) | 杉山 尚子 |本 | 通販 | Amazon

もう1つの源流はコーチングにおける「アクノリッジメント」の考え方だ、こちらは何の本で知ったのか忘れてしまったがし、PCITの本にもアクノリッジメントという用語は出てこなかったと思うが何か近い物を感じた。もしPCITとコーチングの関連について知っている人がいたら教えて欲しい。

学習と実践のサイクルを回していきたい

自分にとって学ぶことは喜びである。 特に「知識を知る→実際に試してみて自分のものになる→さらに新しい知識を知る」というサイクルが小さく早く回せるタイプの学習が好きだ。

もしかすると、子育ては自分にとってこのような学習サイクルを回しやすい領域かも知れない。楽しんで子育てと学習を行っていきたい。

楽天グループはどうして楽天モバイルに大規模な投資をするのか気になっている

楽天の決算発表を読んだ感想を書きますが、素人ですので誤りが含まれているかも知れません。何かおかしな記述を見つけたらtwitterなどでご連絡ください。

いろんな会社の戦略だとかその結果だとかに興味があるので、いくつかの会社の決算発表をチェックするようにしている。

そんな中で楽天グループの決算について、というか楽天グループの戦略について疑問点をちょっと書き残しておく。

疑問点を一言でいうと「どんなメリットに期待して楽天モバイルにここまで大きく投資しているのか」というものだ。

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「2021年度第3四半期 ビデオプレゼンテーション資料」より

2021年度決算短信・説明会資料|楽天グループ株式会社

楽天グループの収益構造をざっくり言えば、「ECと金融で収益を上げているが、それ以上に楽天モバイルへの投資を行っているので全体としては赤字」という事になる。

セグメント別業績|楽天グループ株式会社

最新の四半期では、セグメント別営業利益が以下のようになっている。

  • インターネットサービス(主にEC) +245億
  • フィンテック(金融) +211億
  • モバイル -1,005億

既存事業(EC, 金融)で収益を上げた上で新規事業(モバイル)に投資を行うのは理にかなっていると思うが、いくらなんでも規模が大きすぎる。

私自身、楽天グループのサービスをそれなりに熱心に使っているが、最近はポイント還元などのインセンティブ縮小が目につく。

もちろん内部事情は知らないのであくまで推測だが、こういったインセンティブの縮小も楽天モバイルが大きな赤字を出すなかでグループ全体の収益性を確保するための一手だったりしないだろうか。

楽天がポイント付与を改悪、税抜金額に 付与ポイントは1割減少 - ITmedia ビジネスオンライン

楽天証券、投資信託にかかわるポイント進呈ルール一部変更 2022年4月以降は「積み立て特典」に(BCN) - Yahoo!ニュース

当然、これだけの投資を行う価値があると見なしているから投資しているんだと思うが、それが何なのか分からない。

仮説としては以下のようなシナリオが浮かんでいるが、既存事業の黒字を大幅に上回る収益性が私には想像がつかない。

  1. 楽天モバイルの収益性がこれから劇的によくなる。(事業単体で収益)
  2. 楽天モバイル楽天グループに大きなシナジーを生み出す。(楽天経済圏で収益)
  3. 基地局などモバイルネットワークについてのソリューションの外販で収益を上げる。(既存の楽天経済圏を超える場所で収益)

特に、2.の一種として「楽天モバイルの利用者が楽天経済圏に流入する事を期待している」という説をよく耳にするが、楽天モバイルの利用者数や楽天市場の利用者数を比較して見てみるとどうもそうとも思えない...

実は、楽天モバイルのコストは基地局への初期投資が中心で整備が一通り終わったら一気に黒字化が進むのか? (つまり1.)などとも考えたけどちょっと調べる気力まではわいていない。

3.は業界についての知識が全然なくて想像がつかない。

そんな訳でとっても気になっている。

Primitive TechnologyというYoutubeチャンネルが面白い

好きなYoutuberを紹介する。

https://www.youtube.com/channel/UCAL3JXZSzSm8AlZyD3nQdBA

このPrimitive Technologyというチャンネルがとてもおもしろい。 特に森の中にあるものだけで鉄を作る回なんて最高に面白い。

www.youtube.com

この動画シリーズは、オーストラリアの森の中に投稿者が1人でキャンプしながら、土器だったり石器だったり家だったり畑だったりを自然にある素材だけで作っていくといった内容のものだ。

単に森の中に入っていって手探りで物を作るのではない。あらかじめどういう手順でどんな道具が作り出せるのか投稿者が知識を習得してきた上でその実践の様子を見せてくれるのだ。つまりサバイバルのための、あるいは古代の生活のための技術をデモしてくれるわけだ。

現代の技術は高度に階層化されている。スマートフォンアプリはプログラムによって構成されているが、そのプログラムはOSやハードウェアといったさらにローレイヤーな技術に立脚している。そして上の階層は下の階層の技術的詳細をあまり意識する必要がないように隠蔽されている。

そうしたブラックボックスな部分が多い現代の技術と違って、Primitive Technologyは視聴者の目に見える範囲ですべての技術が展開される。そういうつまびらかな感じがこの動画シリーズの面白いところだと思う。

BASE BREADを1ヶ月ほど食べてみた感想

BASE BREADとは、BASE FOOD社が販売しているパンのことで、いい感じの栄養バランスでありながら手軽に食事を済ませられるといったコンセプトの商品だ。

完全栄養の主食 BASE FOOD

このパンを1ヶ月くらい食べてみたので感想を書いておく。

結論としては「手軽に栄養バランスが取れた食事をしたい人は試してみる価値あり」だと思う。

正直に言って、すごく美味しいパンかというとそうでも無い。むしろ食べ続けていると味に飽きてくる。ただ、個人的にそれを上回るメリットを感じてる。1)食事メニューが固定されるので食事に迷わなくて住む点 2) 調理済みなので時短になる点、3)それでいて健康に良さそうな点が気に入っている。体感としては体調も良くなった。だから気になる人は試してみるのをおすすめしたい。

以下でもう少し詳しい感想を書く。

BASE BREADとはどんな物なのか

基本情報

まず、BASE BREADは見た目で言えば「袋に入ったパン」であり、それ以上でも以下でも無い。これを1食に付き2袋食べるといい感じに栄養が取れるという商品である。

私の感想を正直に言うと「かろうじて不味くはないパン」といった感じ。

  • 気に入ってる点 ... 普通のパンが"白米"だとしたら、BASE BREADは"玄米"って感じの香ばしい風味がある。歯ごたえが強めな点も個人的には好き。チアシードが入っててプチプチした食感があるのも楽しい。

  • 気に入ってない点 ... 普通のパンと比べてちょっとパサついている。あと、同じものを長期間に渡って食べるので飽きる

プレーン・チョコ・シナモン・メープル・カレーなどの味がある。当初は「プレーンとチョコが好きで、シナモン・メープルはイマイチかな...」などと考えていたが、好きな味のパンを連続して食べていると飽きてくるので結局どの味も「かろうじて不味くはない」といった感想にに収斂した。

食べ方

最低限、袋から出してかじればそのまま食べられる。

レンジで30秒ほどチンすると温かく柔らかくなって食べやすいし、オーブンで焼き目を付けると香ばしさが引き立ってかなり良い。

プレーン味は単体で食べるには味気ないがチーズやハムを挟んで食べるととかなり美味しく頂ける。

ただし先ほど書いたように飽きは来る。

入手方法

Amazonや公式サイトでまとめ買いする事が出来る。あとファミリーマートで1個売りしているのを見かけたので小売店でも買える場所があるらしい。

値段

セット売りによる割引や、継続購入に対する割引などがある。自分の場合は1袋あたり170円〜200円くらいの値段で購入している(味によって違う)。つまり1食400円弱だ。

また、まとめ買いした場合1回の注文に付き500円の送料がかかる。

パン2袋にしては割高に感じるかも知れないがコンビニでちょこちょこ買ったりするよりはずっと安いということで自分的には満足している。

どんな風に食べて、結果としてどうなったのか

自分の場合は朝と昼にBASE BREADを2袋づつ食べている。冷蔵庫にチーズがあれば挟んだり、スープと一緒に食べたりする事もある。夜は普通に食べている。この食生活を1ヶ月ほど続けている。

効果

ここ1ヶ月くらいずっと体調が良い。疲労やダルさを感じる事が減った。もともと1食に付き2〜3人前の食事を食べる生活をしていたので、食べ過ぎで体調が悪い状態が続いていてそれが解消されたのかも知れない。

自分の体調についての経験則的には、BASE BREADを食べなくても栄養バランスが取れた食事を少なめに食べ続けていたら同じように体調が良くなっていた気がするが、 健康的な食事を用意する手間なく用意できる という点がBASE BREADの気に入っている点だ。

結論

そんな訳で、食事を用意する手間が省ける、結果として食べる量をコントロールしたり不健康な食事にならないように気を使うコストが下がって健康的な食生活が送れる点で良い商品だと思った。ただし味は飽きてくる。

食べてみて味や値段が気に入らなかった場合は単に中断すればいいだけなのでこれは試してみる価値ありだと思います。

2022年は準備にこだわる年にしたい

こんな事を書くのは恥ずかしいのだけど、自分は仕事において作業のはかどり方に非常にムラがある方だ。

爆速で仕事が進む時は進むが、そうでない時は全然進まない。手を動かす作業に集中できない事が良くある。

働き始めて以来、色々な「仕事術」だとか「ライフハック」だとかを試して来たけど、ついに自身の作業スピードを平準化できないままここまで来てしまった。

どんなメソッドも何かしらかの行動は必要なものだがその「メソッドを実行するための気力」がわいてこない事があるのだ。

今までは(良くないけど)「効率が落ちてしまった日はちょっと長めに働いてカバー」という手が使えたが、ここ1年の間に家庭環境も変化してそういうこともできなくなってしまった。

そういう必要性に駆られて色々ためしているうちに、そんな不安定な自分のモチベーションを盛り上げる方法が少し見えてきた。

1つは、他者に壁打ちさせてもらうことだ。 最近は、このサービスを利用してプロのコーチにコーチングをしてもらっている。人と話していることで自分の中からアイデアがわいてきてそれが行動のための気力を引き出してくれる。

mento(メント)| パーソナル・コーチングサービス

2つめは、準備をしっかりすることだ。 前述の通りプライベートも忙しくなってきたので家事も効率的にすすめる必要が出てきたのだけど、「前日のうちによく朝の家事の準備をしておく」という行動をしたらすごくモチベ高く家事に取り組める事に気づいた。

準備によって効率が上がることの効果より、モチベが上がってサクサク動ける効果が自分にとっては重要だ。

だいぶ前にこんな本を読んだ。

のうだま―やる気の秘密 | トメ, 上大岡, 裕二, 池谷 |本 | 通販 | Amazon

この本の中に、モチベーションがあるから行動を起こせるのではなくて、些細でも良いからなにか行動を起こすことでモチベーションがわいてくるのだ。といった意味の事が書いてあったが、準備をすることにはそんな効果があるのかも知れない。

そんなわけで2022年は準備にこだわることで手を動かす作業のモチベを高く保ち続けて快適に仕事を進められるようにしたい。

どんな大風呂敷の計画も作業がスムーズに進まなければ成功しないので、こういう初歩的なことをあえて今年の目標にしたいと思う。

銀行もAWSもドラえもんも、負荷平準化によってボトルネックを解除する

ドラえもんだらけ」

  • ドラえもんのある回に「ドラえもんだらけ」というエピソードがある。
  • なんの理由だったか忘れたが、のび太の宿題を代わりにやる事になったドラえもんが、タイムマシンを使って「4時間後の自分」や「8時間後の自分」を連れてきて、宿題を手伝ってもらうという話だ。

まあ、このエピソードではドラえもん同士が喧嘩して宿題はスムーズに進まないのだけど、なんとも夢があるエピソードだと思う。
自分の業務も忙しい時期と余裕がある時期に波があるので、未来の自分に業務を手伝ってもらいたいものだ。

銀行という魔法

さて、タイムマシンは存在しないので、未来の自分に業務を手伝ってもらう事はできないが、それに近い仕組みならすでにある。いや、タイムマシンよりももっと凄い効果を持つものが、ずっと昔からある。

それは銀行による貸金である。

例えば、

  • ある会社が1億円かかる大型の設備投資をしたくなったとする。
  • その設備投資により毎年2千万円の追加収入を見込む事が出き、投資は5年間で回収できる予定である。
  • しかし、残念ならが現時点で1億円のキャッシュを準備する事は出来ない。

この話は本来なら「この投資は今は出来ない」となって終了だ。 しかし、ここに銀行が登場して、1億円の貸付を行えば設備投資が可能になる。 まず、お金を借りて設備投資をして、その後、借り入れを返済して行けば良い。

未来に発生する収益に、過去にさかのぼって仕事をして貰う、という事である。

さて、話はこれだけで終わらない。

銀行からの借り入れは、単に投資の後払いを可能にするだけでは無い。

  • もし設備投資に1億円では無く2億円を投じる事で収入も2倍になると言う予測があり、それを銀行も信用するのであれば、2億円を借りる事も出来る。
    • 信用によって収入を2倍に伸ばすことが出来るのである。
  • いや、もっと投資するともっと収入が増える見込みがあるなら、もっと借りる事が出来て、もっと収入を伸ばす事もできるのだ。
  • 信用があれば資本にレバレッジが効くのである。

株式による資金調達も原理は同じである。

「単位期間あたりの投資額が、現時点で持っているキャッシュの額に制約される」というボトルネックを緩めてやる事が、非常に大きなメリットをもたらす事がある。

共通性

さて、「ドラえもんだらけ」と「銀行からお金を借りて行う設備投資」にはどんな共通性があるだろうか。
私はそれを、長い時間の中に負荷を分散(=平準化)させることで、ボトルネックを緩める事だと解釈している。

  • 銀行であれば「今持っている額以上の投資は出来ない」というボトルネックを、後払いによって解除する。
  • ドラえもんであれば「一晩で終わらせる事ができる宿題の量に限りがある」というボトルネックを、未来の自分と作業分担で解除しようとしている。

未来から借り入れを行った場合、利息によって支払う合計額は増えているが、これはボトルネックではないので重大な問題ではない。
未来から来たドラえもんだって、新たな作業負担を被るが、暇なタイミングの自分を呼んでくれば良かったのだ。

ボトルネックを緩めるためには、非ボトルネックは多少は犠牲にして良いのだ。

もっと違った形の負荷平準化

さて、ここまでの議論で「長い時間の中に負荷を平準化させる」ことで物事がうまくいくケースがあり、負荷を平準化させるためには多少の対価を支払っても良いと言うパターンが見えてきた。

このパターンには様々な親戚が居る。

例えば「統計多重効果」だ。

f:id:Shinya_131:20180824081312p:plain (http://www.soi.wide.ad.jp/class/20040021/slides/06/14.htmlより)

これは例えば、AWSのEC2に代表されるクラウドコンピューティングから高い費用対効果を得られる原理だ。

つまり、CPU使用率のピークタイムが異なる様々なコンピューターリソースを束ねることで、CPU使用率の推移を示すグラフはピークが取れてよりなだらかな曲線を描くようになっていく。これは、ピークタイムが異なる物を束ねることでより稼働率を上げる、つまり設備が余すこと無く使い切られた状態に近づいて費用対効果を高める効果が得られる事を示している。

他にもまだ親戚は居る。 例えば「保険」だ。保険は、加入者の内ごく少数に発生する不幸で巨大な負担を、加入者全員が分散して負担する仕組みだ。 1加入者が負担できる負荷の最大値は小さいものだが、それを大人数の加入者で薄める事で、少なくても金銭的影響は最小限に抑える事が出来る。

最大の負荷がボトルネックになる時は、負荷を平準化して散らしてやれば良い。というパターンが見えてくる。

まとめ

  • 「負荷を平準化する」ことで驚くようなメリットが出る事がある。
  • なぜ価値が生まれるかと言うと、負荷の総量ではなく負荷のピーク時の大きさボトルネックになっており、負荷の平準化によってそのボトルネックが緩むからである。

書き残した事

あまり整理出来ていないが、「負荷平準化の逆」というのもあると思う。

これは特に軍事の世界で良く登場している。

例えば、

飽和攻撃 - Wikipedia

または、

アメリ海兵隊のドクトリンに出てくる「戦力を時間的に集中して投下する事で、敵の指揮命令能力をパンクさせる」というのも似たような物だろう。ランチェスター戦略における「局所優勢」の考え方や、「ダンピング」による競合他社の排除もこのパターンに当てはまるかも知れない。

与えた負荷の総量が問題なのではなく、短い時間だけで良いから敵の対処能力を上回る負荷をかけるのが重要という事なんだろう。

「目的に縛られずに無駄なことをやる」

ここから先、しばらくの間、「目的に縛られずに無駄な事をやる」というのをやって行きたいと思う。具体的には何に使えるのかハッキリしない技術をちょこっと試してみたりと言うのを趣味として積極的にやっていこうと思う。

まだ役に立つかどうかハッキリしない技術」というのは「役に立たない技術」とは全く違う。先のことは予測するのが難しいから価値がハッキリしていないだけである。

仕事では、目的を達するための手段として技術を使いたい。 だから、趣味として目的に縛られずに色々やっていこうと言うのが今考えている。それは長期的に見ると仕事の助けにもなりそうだと考えている。

発端

ある日こんなツイートが流れてきた。

slack-redir.net

僕が尊敬(というか畏怖)しているエンジニアの方が、このツイートを見て共感を示した上で、「目的に縛られずに無駄なことをやろう」とつぶやいていたのが結構長いこと印象に残っている。

何かの役に立つのかわからない、小さな技術的な試みや実験の類が蓄積して、ノウハウに転化するのだと。

企業も似ている

自分がいくつかのデータ分析プロジェクト、特にKPIの設計などに携わる上で感じたことがある。

それは、投資に対して、「短期的な価値は予測(定量化)しやすい」のに対して「長期的な価値は予測(定量化)しにくい」という事だ。

※ ここでは「投資」はお金だけじゃなくて、人とか時間とか設備とかの投資を含めた意味で使っている。以降も同じ

例えば、

  • 事業における投資について、既存事業への投資はリターンを予測しやすいが、新規事業へのリターンは予測しにくい。とか。
  • 研究開発では、生産設備研究への投資は原価削減効果としてすぐ現れるが、イノベーションのための研究はどのくらいの収益に結びつくのか予測しにくい、とか。
  • ソフトウェア開発の現場で、新機能の追加が売上に与える影響は予測しやすいが、コードリファクタリングによる可読性の向上はどう収益に結びつくのか予測しにくい。とか

もちろん、新規常業への投資も、イノベーションのための研究も、コードリファクタリングも、長期的に見れば収益を生み得る。予測が難しいだけである。

にもかかわらず、定量的に予測可能な範囲でだけ投資先を決めてしまうと、「長期的に見ると最適では無くなる」という事が起きるのでは無いだろうか。

それにどう対処すべきか

予測可能な短期への投資をしなければ、そもそも長期的に存続できない。 そして、予測できない長期にも投資しなければ長期的に見て最適とは言えない。

思いつく対処策として、「投資可能なリソースの内一定枠を長期投資に回す」と言うのが有り得そうだ。その枠の中では、短期的な収益を目指さなくても良い事にする事で予測困難なものに対して投資が行える。

投資可能なりソースを、

  • 時分割で長期に配分すると: Googleにかつてあったと言う20%ルールや、freeeの「巨匠」制度 ( http://type.jp/et/feature/1468 )
  • 組織で分割して長期に配分すると: 大企業がもつ「基礎研究所」という組織

になるのかなと。

最初の話しに戻る

目先に役に立つ事しかやっていないと、長期的に見て良くない気がしたので、あえてすぐには役に立たない事を練習していこう。